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2013年3月23日 (土)

ジェノサイド

9784048741835

ご存知2012年版「この ミステリーがすごい!」の1位の「ジェノサイド」である。
遅ればせながら拝読しましたが、久しぶりにオモシロイと感じた本である。

このジェノサイド(英: genocide)とはギリシャ語の γενοσ(種族・国家・民族)と
ラテン語の接尾辞 -cide(殺)の合成語であり、ユダヤ系ポーランド人の法律家
ラファエル・レムキンにより1944年に造語されたもので、人種や文化の集団に対する組織
的な殺戮を意味している。

ユダヤ系ポーランド人ということでナチス・ドイツのユダヤ人虐殺(ホロコースト)を
念頭に置いている事は容易に想像できる。
また、スターリンの大粛清や、毛沢東の文化大革命、ポルポトのカンボジア虐殺、ルワンダの
フツによるツチ虐殺なども該当する。そして1948年に集団殺戮行為を禁止し、防止し、
処罰するするジェノサイド条約が国際連合で採択される。
その後2006年の「コンゴ民主共和国領における武力行動事件」はジェノサイドと認定さ
れた事例の一つである。

そのコンゴが舞台の一つになっている小説である。そして日本も舞台になっている。
で、アメリカの特殊部隊がコンゴで集団殺戮を計画するにあたり基になったのが
「ハイズマン・レポート」であるが、このレポート、じつは高野和明氏の創作に
よるものなのである。
この「ハイズマン・レポート」は人類の絶滅要因を研究・提言しているものなのだが、
その中に新人類の旧人類(我々人間・・)にたいする脅威があり、これがこのストーリーの
重要なキーワードの一つになっている。
そして日本を舞台にした展開のキーワードが「肺胞上皮細胞硬化症」という不治の病な
のだがこれも高野和明氏の創作なのである。実在する不治の病について、“治療法が見
つかった”と書くことに、倫理的なためらいを覚えたのだという。そりゃそうだ。
で、これらの虚構のリアリティが実在の世界の中でこれでもか!とたたみかけてくる様は
実に迫力がある。

あと、人間(男女)の距離感を
「つかず離れずのファンデルワールス力」
「お互い大きな組織の一員で身動き取れない金属結合」
「目指すは共有結合」
などとのたまう理系男子学生同士の会話もオモシロイ。

多少他民族に傾いた描写がなきにしもあらずチョット違和感も覚えるがそれを差し引い
ても読まずに死ねるか!の1冊である。
まぁ、人間というのは実に愚かな生き物なのだと改めで感じた今日この頃なのである。

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